今回は、いわゆる人文系(文学・言語学など)の学部への編入学試験や、大学院入試の傾向について、わたし自身の体験もふまえながら書いてみようと思います。大学入試と違って、編入学試験や大学院入試は情報が少ないですので、うまく情報収集することが大切です。今後受験を考えているみなさんは、この記事をきっかけにして、自分でもWebなどで調べてみることをお勧めします。
多くの人文系の編入学試験・大学院入試の筆記試験では、大きく分けて2つの科目が出題されています。ひとつが外国語、もうひとつが専門科目です。多くの場合、これに加えて面接試験も実施されます。
筆記試験のなかでいちばん準備に時間がかかるのが、外国語です。あくまで入試要項は大学ごとに異なりますが、編入学では1つの外国語のみ(たとえば英語だけ)が課されるパターンが多いです。一方で、大学院入試では、2つの外国語(たとえば英語とフランス語など)を出題している大学もあります。多くの人が中学校や高校から勉強を始めている英語であれば比較的負担も少ないでしょうが、2種類の外国語が必要な場合は、しっかりと時間をとって、腰を据えてじっくり勉強する必要があります。
人文学の世界で知識を得たり考えを表現したりするには、盤石な語学力が必須です。そのために、受験生の負担が大きくても、複数の外国語を課す大学があるわけです。したがって、試験対策として外国語を勉強するときに、「入学試験に通りさえすればいいや」という考えでいい加減に取りくんでしまうのは、少しもったいないような気もします。編入後や入学後の学習や研究の前哨戦として、自分の武器を磨くつもりで勉強できるのが理想です。外国語の試験についてのくわしい傾向や対策は、今週土曜日のガイダンスにてお話しする予定です。
外国語も力を入れて勉強しておく必要がありますが、専門科目もあなどれません。専門科目は、入学先の学部やコースで勉強することの基礎知識が問われます。形式としては、大学入試の理科や社会のように、問いに対して記号や語句で答えるものもあれば、「○○について知るところを論じなさい」というものや、「○○という現象に対して自分なりに分析し説明しなさい」といった、これまでの受験勉強ではあまり目にしたことのないタイプの問題もあります。
しかし、形式こそ違えど、編入学試験や大学院入試で合格を手にするためには、やはり知識を確実に身につけることが必要です。具体的には、「複数の種類の入門書を手に入れて、それらを比べながら読み進める」という方法をおすすめします。人文系の学問では、研究者の立場によって、基礎的な部分でも方法論が異なる場合が多々あります。そのため、同じテーマについて書かれている部分でも、書籍によって力点の置きかたがかなり違う場合もあります。それらを比べることによって、ひとつの現象を多面的にとらえたり、アプローチが違ったとしても共通して重要なポイントをつかんだりでき、その分野の深い理解を得ることができると思います。
堀口先生
