今回は、政治学のなかでも政治システム論について、お話したいと思います。おそらく、あまり聞きなれない方が多いと思います。この政治システム論を提唱したのは、シカゴ大学で政治学を教えていたデヴィッド・イーストンです。政治システム論は、政治学に初めて理論的なシステム概念を導入したことで知られています。それでは、そもそもシステムってなんでしょうか。ここでは、体系くらいで考えて下さい。
システムという考え方自体は、生物学の分野でフォン・ベルタランフィによって開拓された考え方です。その後、自然科学や文化人類学で広く用いられ、政治学でも用いられるようになりました。政治システムは、文化システム・経済システムとともに社会システム全体を構成しているシステムのひとつと考えられています。
つまり、システム論は社会全体をシステムとして捉えるわけです。全体として捉えることからもわかるように、政治システム論は、政治に関わる行動・行為を相互の関係、あるいは全体として捉える場合に用います。特徴は、環境からの入力(支持と要求)を環境への出力(政策)へと変換する機能をもつとする部分です。つまり、〈環境からの入力〉→〈変換〉→〈環境への出力〉の流れです。このように政治をマクロ的に分析しようとするときに、政治システム論は、しばしば用いられてきました。そして、その後の現代政治学に大きな影響を与えたのです。
橋本先生