ドイツ語を習ったことがありますか?習ったことがなくても「あれ、この単語、英語にそっくり」という経験はあるかもしれません。それもそのはず、ドイツ語は英語と親戚関係にある言語なのです。英語はドイツ語、オランダ語、フリジア語等と系統関係にある「(西)ゲルマン諸語」の一つにあたります。つまりこれらの言語は歴史的に派生関係にあると考えられています。並べてみると見た目からして似ていると思いませんか?
英語:I have an apple.
ドイツ語:Ich habe einen Apfel.
オランダ語:Ik heb een appel.
しかしフランス語を学んだことのある人はこう思うかもしれません。「フランス語の単語も英語にそっくりなことがあるんだけど…」。フランス語はロマンス諸語の一つ、つまりラテン語の子孫にあたります。他にはイタリア語、スペイン語等もロマンス諸語ですから、これらの言語を学んだことのある人はフランス語との類似性に気付いているかもしれません。
ではロマンス系のフランス語とゲルマン系の英語が似ているのはなぜでしょうか?これは1066年に始まったノルマン・コンクエストに由来します。ノルマン人による征服以後、イギリスではフランス語が公用語となり、フランス語の語彙がたくさん英語に入ってきました。この時の影響で、英語にはフランス語起源の語が大量に残っているのです。
このように言語の姉妹関係、親子関係を調べる研究分野は歴史言語学と呼ばれています。グリム童話のヤーコプ・グリムも研究していたことのある、長い伝統のある学問です。
岡部先生