記憶の文脈依存

投稿者: | 2010 年 3 月 23 日

 みなさんは日頃どのような環境の中で勉強をされていますか??みなさんの中で音楽を聴きながら、横になりながら、またはガムを噛みながら勉強されている方は手を挙げて下さい~!と言うと多くの方が挙手されるかもしれません。

 ここで、今回も前回に引き続き心理学用語から一つ、みなさんに紹介したいと思います。

 今日ご紹介するのは…「記憶の文脈依存」です。

 この文脈依存は、「符号化時と検索時の文脈が記憶成績に影響を及ぼす現象」のことを指しており、簡単に言うと…物事を「覚えるとき」と「思い出すとき」の環境がより一致している方が、一致していない時よりもその物事を想起しやすいということです。

 ゴドンとバッデリー(1975)の行った有名な実験ではスキューバ・ダイビングクラブの学生を被験者とし、水中または陸上で単語リストを覚え、再生するという手続きがなされました。その結果覚えた環境と同じ環境で想起するほうが成績がよいことが明らかになったのです。つまり水中という特異的な環境においても、同様の環境の方が単語を思い出しやすかったというわけですね。

  さて、ここで一度試験会場の環境をイメージしてみてください。周りには受験生がおり、みな机に座って試験問題と格闘する…そんな様子が想像できるでしょうか。そのような環境を想定するならば、適切な勉強場所として図書館や自習室等が挙げられるでしょう。周りに人がいて、その人たちも同様に机に向かってペンを動かしている試験会場に似た環境を提供してくれる場であるからです。みなさんも是非授業の前後などの時間に自習室を利用し、勉強の場として活用していってもらうといいのではないかと思います。

 この文脈依存は心理学実験で明らかになったことの一つですが、豆知識として少し頭の片隅に置いておくのもいいかもしれません。他にも日常生活に活かせそうな心理学研究は数多くあります。新たに心理学を始める方や苦手分野が多い方はそういった親しみやすい分野から勉強を始めるのも一つの方法でしょう。勉強法等についても何かあれば、いつでもお話を聞きますので、気軽に質問してくださいね。

丸山先生