近年の臨床心理指定大学院入試では、専門用語の説明のみならず、その用語から、その現象をあなたはどう考えるか?などといった論述の問題にウエイトがかかってきているように感じます。そのため、入試対策では、単に用語を暗記するだけではなく、論述の方にも力を注いでいます。論述の力をどのように高めていくか?これを指導することはとても難しいと実感していますが…最近、わかってきたことは、やはり心理学全般に関する基礎的な知識をどれだけ持ち合わせているかが重要だと思います。さらに、「出題者はどのようなことを期待して、論述問題を作成しているのか?」をはじめに考えることが入試のポイントではないかと思います。つまり、出題者の立場に立って、論述問題を考えていくということです。一般に論述というと答えのないものですが、入試の場合はその論述に点数をつけないといけないのです。どういう風に点数をつけるのか?を考えた時に、論述の添削をしていた時のことがヒントとなりました。
論述問題の場合、大まかな基準はあっても、詳細に何が書かれたら何点をつけるという厳密なマニュアルはなく、添削する側の裁量で決められることが多いです。そのため、私が添削する際には、書かれた内容にどれくらいの心理的な知識が組み込まれているか、そして、それらの知識から書いた本人がどう考えて、結論づけているのかを見て点数をつけていました。そこから、実際の大学院入試においても、点数をつける先生の裁量によって決められる部分も多いのではないかと思うようになりました。私自身も大学院入試で論述の受験勉強をしようとしたとき、論述の答えがわからずに、何から手をつけてよいのかわからなかったことを思い出しますが、そんな時、私は出題される先生の文献や授業の中で、先生の考え方を詰め込み、論述の中でそれらを豊富に入れて、起承転結を心がけていました。言ってしまえば、院入試の論述では、あなたの考えは?と聞かれていますが、そのほとんどは出題者の先生の考えは?に書き換えられることができると思います。そのため、論述の勉強をされるには、出題される先生が書かれた文献をたくさん読んでいくことが、論述の勉強の近道ではないかと考えています。
細見先生