日本文化と心理学

投稿者: | 2013 年 2 月 9 日

社会心理学の一派に文化心理学があります。名前の通り文化差を研究している領域です。この文化心理学の有名な概念に相互独立的自己観と相互協調的自己観があります。相互独立的自己観とは、典型的には北米の白人の概念であり、自己が周囲の他者と切り離されているという認識です。一方、相互協調的自己観とは、自己を他者や関係と切っても切れない関係にあるという認識です。日本人にとってはこちらの方がなじみ深い概念でしょう。

この2つの概念はある大学の編入試験の問題で、「よく知られているように」という前置きで問題文に示されたことがあるので、用語として押さえておいたほうがいいでしょう。しかし、試験に出る出ない以上に、文化心理学は欧米を中心に発展してきた心理学一般の知見が他の文化でも当てはまるのかという非常に重要な問いを提起することから興った領域です。この問題意識を持って海外の学者の概念や議論を読んでみると、違った見方ができるようになるかもしれません。

増井先生