大学編入や大学院入試では小論文試験の占める比重がかなり高いです。それにもかかわらず、小論文試験のためにどのような勉強をすればよいかわからないという人も多いのではないでしょうか。ここでは小論文の学習について考えてみます。
小論文の試験ではまず論理展開や文章表現が問われます。この点に関しては自分で実際に書いた答案を誰か信頼できる人に添削してもらうのが最善でしょう。
それに加えて、実は一般的な知識も問われています。ある程度の知識がないと答案が書けないような出題も珍しくありません。この小論文で必要とされる知識については、自分で時間を見つけて学ぶことができるので、そのための参考書を以下でいくつか紹介します。
(ここでは社会系の一般的な小論文を念頭に置いています。理系や芸術系だとその内容も大きく異なるでしょうし、特に大学院の専門論文試験では専門科目の対策が必須です。それでも現代社会で一般的に論じられている事柄を知っておくことは有益でしょう。)
・樋口裕一著『読むだけ小論文』(学習研究社)
小論文の知識本としては一番のおすすめです。よく論じられるテーマがわかりやすく説明されています。基礎編と発展編の2冊があるので、これだけでもほとんどの小論文の内容にいくらか対応することができます。
・楠崎竜太、箕曲在弘、樋口裕一著『一目でわかる小論文ハンドブック』(ナガセ)
基本的なテーマごとに問題、キーワード、解答例がつけられているので、それらを読むだけでも知識が身に付きます。自分で実際に書いてみるのもよいかもしれません。一貫して対立軸を設定して論述するというスタイルで解答例が作られているのでわかりやすいです。
・湯浅俊夫、竹内幸哉著『小論文頻出テーマとキーワード(文系編)』(旺文社)
用語集としてはこれを挙げておきます。図式的に用語の説明がされています。前から順に読みとおすのは大変ですが、気になったところをパラパラと見るだけでも知識を確認することができます。理系編もあります。
・清水雅博著『小論文の時事ネタ本 社会科学系編』(学習研究社)
高校の科目でいうところの「現代社会」や「政治経済」の内容を詳しく紹介している本です。写真や図表が豊富です。政治や経済について、事実関係を詳しく押さえておきたいなら特におすすめします。
・中野芳樹、奥村清次、小泉徹、松本孝子著『小論文テーマ別課題文集21世紀を生きる』(駿台文庫)
小論文の課題文でよく見かけるような、現代社会を代表する本からの抜粋と、それらをテーマごとにまとめた解説から成り立っています。社会学の入門書としても読めます。
これはあくまでも個人的な観点からの記述です。その人の状況や受験大学によって向き不向きがあります。小論文の講座を受講されている方は担当の先生に相談してから自分での学習を始めるようにしてください。
浅野先生