ことばを学び、論理を学ぶ。~外国語と日本語~

投稿者: | 2011 年 4 月 9 日

 研究を進めるうえで、日本語と英語の両方で論文を書くことがあります。「どうすれば英語で長い文章が書けるようになりますか?」と時々質問を受けるのですが、どうやら多くのみなさんは、浴びるように英文を聞いたり、山のように熟語を丸暗記したりする作業にまず目を奪われてしまいがちなようです。

ところが学術論文やビジネス文書などで求められる英語では、全体の構成つまり「論理=ロジック」を意識することが最重要であり、語句や文法の修正はその次、と言っていいでしょう。そしてこうした論理を理解することは、英文を書くときだけではなく、日本語の文章を書くときにも実は同じくらい重要なのです。長めの文章の冒頭と結びが矛盾してしまったり、論じる途中で主題から脱線して迷子になった経験はありませんか?

 単なる「語学」としての英語ではなく、英語の持つ論理的な明晰さ(「因果関係」「例示」などの方法で文章間・段落間の関係性を明示することや「起承転結」など全体の流れをわかりやすく構成すること)を学び、身につけることは、みなさんの日本語(を含むあらゆる言語)でのコミュニケーション能力全般を高めることにもつながるでしょう。明晰で論理的な文章を書けるようになれば、相手に何かを説明するときや、人々の前でプレゼンテーションをするとき、必要な情報をわかりやすく伝えることが可能になります。

 ネイティブとして無意識に身につけてきた母国語とは異なり、未知の外国語を学ぶことはみなさんに「わかりやすい表現方法」を考えるきっかけを与えてくれるはずです。木を見て森を見ず、のようにただ漫然と暗記する語学から一歩抜けだせば、ことばの豊かな世界が広がっているのです。

比嘉先生