生活の中で私たちは、答えの無い問いにぶつかります。学校の試験で出会う問題の多くは、しっかり勉強すれば自信を持って答えを導くことができますが、生活の中で出会う問題に確かな答えはありません。働くということ、他者と共に生きるということ、突然の災害や喪失の出来事、さまざまな人生の局面で矛盾や葛藤に直面します。
答えのない問題にどうやって答えていくか。その問題をどう捉えるかで、人生の風景が違って見えてくるのではないでしょうか。震災後、私たちが生きてきた社会が抱える危うさが明らかになりました。特に原子力の問題は、私たちに大きな価値の転換を迫っているように思います。人生がつきつけてくる難問に押しつぶされそうな時もあるかもしれませんが、私たちが今、どのような社会に生きていて、今後どのように生きていくべきなのか、前向きに考えていけたらと思います。
「生きること」を考えるための学びがどうあるべきか―そういう問題意識を持って、「生涯教育」では、多様で多角的な研究・実践が行われています。「生涯教育」「生涯学習」というと、単にビジネスシーンにおけるスキルアップや、公民館で行われる趣味活動など狭い範囲で捉えられがちですが、本来はもっとリアルな生活の経験に根ざしているのです。
鎹先生