開発と貿易。その関係について聞かれた時、どのようなものを思い浮かべるだろうか。先進国の機関や企業が途上国に乗り込んで開発援助を行い、途上国の経済発展の礎を築く。従来のイメージではこれくらいだろう。
しかし、貿易によっても途上国が発展できるようにするための援助があることをご存じだろうか。現地のインフラ整備に始まり、鉄道の敷設や湾港の整備が一例であり、途上国の輸出品目を生み出すための一村一品運動も貿易のための援助といえる。
このような援助については、開発が目を向けるべきはもっと人々の生活に密接に関われる課題であえるべきという声もある。確かに、マイクロファイナンスと呼ばれる融資プロジェクトや治安改善のための現地の警察官への教育訓練など従来の援助も必要である。しかしこれらの開発プロジェクトは特定の地域を単位に行われていることが多く、プロジェクトが終了した後にその成果が他の地域にいかに波及させるかという点について課題が残る。実際、私がインドネシアで見た現地警察官の指紋採取能力を向上させるプロジェクトでも、援助が行われた県警職員の能力は向上しても、援助が行われなかった県警との能力の差をいかに埋めるかが今後の課題とされた。
このような課題を踏まえ、一国や複数の地域を包含する援助の一つとして貿易のための開発がある、それは途上国のより持続的な発展にもつながると考える。関心を持たれた方はぜひ一度調べていだたけたらと思う。
丸尾先生
