心理学・社会学と統計

投稿者: | 2012 年 9 月 25 日

心理学や社会学はいわゆる文系の学問ですが、数学を駆使する統計が必要になることも少なくありません。中にはΣが生理的に受け付けないとさえいう人もいますが、統計は日常生活にも生かせる、重要な考え方を教えてくれます。例えば、以下に示す文について考えてみて下さい。

(1)男性の方が女性よりも交通事故で死亡する人が多い。
(2)コウノトリが多い地域では子どもがたくさんできる。

どちらも、疑似相関の例です。一見正しそうに見えるが、実は違うということです。例えば、(1)は日常経験に照らし合わせると、一見正しそうに見えますが、男性の方が車やバイクを運転する頻度が多いでしょう。車やバイクを運転する頻度が多ければ、その分交通事故で死亡する機会が多いのは自明ですから、(1) には性別と交通事故の多さの間に運転頻度が介しているのです。

次に(2)は、「コウノトリは子どもの象徴」と言われることを命題化したものですが、コウノトリは都会よりも田舎で多く観測されました。また、子どもの出生率も都会より田舎の方が多いという経験的事実もあります(近年は必ずしもそうとは限りませんが)。すなわち、コウノトリと出生率には共通の要因(都市化)があるのです。

このような例は日常生活でも探せば見かけるでしょう。是非探してみて下さい。そして、統計はこのようなエラーを減らすための道具の一つです。拒絶反応があるかもしれませんが、頑張って勉強して下さい。

増井先生