京都外国語大学 編入学試験 傾向と対策

投稿者: | 2016 年 10 月 22 日

外国語学部 編入学 小論文 傾向と対策

1.出題形式
約1200字から2000字の課題文についての小問2題に対して答える問題が出題されている。
課題文の内容としては、1つのテーマについて、対立的な2つの立場を示し、その比較を通じて批評をするものである。具体的には、2016年度Ⅰ期の試験では、「個人と社会の関係」というテーマについて、西欧と日本における観念の違いが取り上げられ、日本の立場について批評がなされている。また、2014年度Ⅰ期の試験では、「人生における『途中』の役割」というテーマの下で、途中を重視する立場と途中を喪失した立場とが対比され、「途中」の役割についてどう考えるかが読者の判断に委ねられている。
小問の内容について、例年同じような問題が出されている。1問目では、課題文を200字から300字で要約することが求められている。2問目では、課題文の内容の一部についての論理展開に関して尋ねる問題が出題されている。また、自分の考えを加えるよう求められる年度もある(例えば、2014年度Ⅰ期)。

2.小問1の解答の指針・対策について
解答するにあたって、まずは、課題文の題名を確認することを怠らないようにしなければならない。例えば、上記に挙げた2016年度Ⅰ期の課題文の題名は、「『世間』とはなにか」である。これを確認するだけで、「世間」というキーワードを念頭に置いて読むことができ、「世間」という観念は日本特有のものであること、「世間」とは個人と社会の関係に関するワードであることなどの重要な要素を抽出することが容易となる。次に、段落毎の重要な文章に傍線を引く。そして、それらがどのような論理関係にあるのかを整理することで、高評価が与えられると考えられる。

対策としては、上記の3つの過程について、過去問演習を通じて練習することが考えられる。演習にあたっては、一文毎の論理関係の確認(前の文章の説明なのか、例示なのか等々)や、段落毎の論理関係の確認をするなどの精読が必要である。

3.小問2の解答の指針・対策について

解答するにあたって、最も重要なことは、問題に対して最初に簡潔に答えを述べることである。指定字数が多いため、最初に答えを述べないとどこに答えがあるのか分からない。また、簡潔に答えを述べられないというのは、実際には理解できていないとみなされうる。このように、最初に答えを述べた上で、それについて説明するというのが基本方針であると考えられる。

対策としては、上記2.にあるような過去問演習及び精読を重ねることが必要である。これは、自分の考えを述べるにあたっても、必要なことである。つまり、本文の論理構造を踏まえた上で、はじめて筆者の意見または論理について賛同・反対ができるのである。例えば、2014年度Ⅰ期の問題において、途中の意味について考えを述べることが求められている。これについて、課題文においては、途中を無意味であるとする立場から、西方極楽へ行くという目標が定まっている以上、落ち着いて考えるといった「途中」の行為、すなわち目標実現とは無関係な行為は不要であり、西へ進むことによってのみ目標に達せられるということが述べられている。自分の考えの例として、「途中」の行為(ここでいう落ち着いて考えるという行為)には、目標が適切であるかを考える機会を持つ意味を有しており、重要であるという反論を示すことが考えられる。以上のように、本文の論理構造を踏まえた上で、その論理構造に沿って自分の意見を述べる練習も同時並行で進めるとよい。

岡田先生