京都大学編入 経済学部 総評

投稿者: | 2009 年 12 月 3 日

京都大学経済学部 総評

「今年の京都大の問題、ぶっちゃけどうだったんだろう…」

試験が終わったら、合否の前に気になるのがコレではないでしょうか。

なんだかいけそうな気がする人はもちろん、
残念ながらまったく手ごたえのない人もすごく気になるこの問題。
ライバルたちの勝手な批評を聞いて
一喜一憂する前に見てほしいものがあるんです!

京大の過去問を
隅から隅まで研究しつくし
自らもその昔それに果敢に立ち向かった
中央ゼミナール講師藤野先生による、
今年の京大経済学部編入試験の解説&総評です。
各門の全体的な難易度や出題の狙い、
前年度と比べての印象などが客観的な視点で
述べられています。

【京都大学経済学部3年次編入学試験 総論】

第1問はミクロ経済学、第2問はマクロ経済学、第3問と第4問は社会経済学からの出題でした。
第1問のミクロ経済学は、①、②は消費者理論、③はゲーム理論と、比較的広い範囲から出題されています。

①は消費者理論の基礎的な問題です。ミクロ経済学の基礎のテキストのほとんどで、図と数式を用いて解説されている部分なので、多くの受験者が完答できたでしょう。

②は消費者理論の初級及び中級的な内容からの出題です。価格変化の需要に対する影響を、図を用いて表現できることが求められています。スルツキー方程式や補償需要曲線を、数式を用いて表現、それらと関連させて代替効果と所得効果を説明できれば高得点が狙えるでしょう。

③は不意完全競争市場における市場の失敗を、ゲーム理論を用いて説明する問題です。囚人のジレンマゲームを用いて、消費者の利潤最大化行動が非合理的であることを説明することが求められています。
第2問のマクロ経済学はIS-LMモデルからの出題です。(1)はIS曲線の導出の問題です。投資曲線及び貯蓄曲線を、貯蓄と投資の均衡を用いて関連させ、財市場における利子率と国民所得の均衡をグラフで表現します。

(2)はLM曲線の導出の問題です。資産需要曲線と取引需要曲線を、資産需要と取引需要の合計が一定であることを前提として関連付けて、貨幣市場における利子率と国民所得の関係をグラフで表現します。

(3)は(1)と(2)で導出したIS曲線とLM曲線を同じ平面状に描くことで、均衡国民所得を表現します。(1)、(2)、(3)ともにマクロ経済学の基礎的な問題で、経済学部の編入試験では頻出範囲なので、多くの受験者が完答できているでしょう。
第3問、第4問は社会経済学からの出題でした。
京都大学経済学部編入試験の専門試験は、昨年とは出題傾向が大きく変わり、ミクロ経済学1問、マクロ経済学1問、社会経済学2問の計4問から2問を選択して解答する形式となりました。出題範囲が絞られ、対策もしやすくなったため、高得点を取ることが必要だと考えられます。

今年もあと少し。
「対策がしやすかった」「高得点をとることが必要」
というくだりに納得した人もできなかった人も、
やり残しがないよう走り切りましょう!!