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2012年 2月 4日  

過程に「コミット」していくことの大切さ

「client」ということばは、ビジネスや医療、ITなどの領域でよく使われ、私たちは専門的なサービスをうける場面でこの立場に置かれる。現代において、サービスを享受する立場にいるクライエントは尊重されている…ようにみえる。しかし、このことばの語源を考えた時、意外な一面が見えてくる。「client」ということばはラテン語の語源で「寄りかかる人」「命令を求めて常に耳を傾けている人」という意味があり、古くローマでは隷属者という意味を持つ。ここで、知識や力を持たないクライエントが専門家の権威に従い、耳を傾けるしかない―そんな構造が浮かび上がってくる。
情報技術や医療、産業は高度化し、確かに私たちが生活に関わる全ての物事を理解し、その過程にコミットする事は不可能である。サービスや商品として完成されたものを「受け取る」ことで生活している。私たちはモノが製造される過程や、情報や知がどのように活用されていくかに関わる判断を下す権利を手放してきたのである。そして、真偽を疑うことや、その是非を問うことを忘れ、ただ「受け取ること」が楽で便利なことだと錯覚してきたのではないだろうか。
「専門家」も人である。高度な技術を極めることが、倫理的にどのような問題を起こすか十分に考えないかもしれず、また、社会とその文化にどのような影響を与えるか、そして人の生き方やなんらかの価値を否定してしまう可能性を考慮しないかもしれない。貧困や自殺、災害や原発…専門家にも解決しがたい問題に直面して、私たちはただ「受け取り続けること」の怖さに気づきつつある。一人ひとりが、専門家と対等に対話しながら、自らの手でより良い生活を創っていくために、さまざまな局面で自ら「コミット」していく姿勢を身につけていきたいものである。

鎹先生

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2012年 1月 25日  

外国語教育の研究

 私の専門分野は外国語教育です。よく他分野の方からは「何を研究するところなの?」と聞かれますが、その研究分野は多岐にわたっています。一つの分類法として、研究を内容学(何を教えたらいいのか)と方法学(どのように教えたらいいのか)に分けることがあります。前者は、外国語教育の目的論に始まり、学習文法(教育文法)の開発や語彙の選定、教材開発などを含み、後者は読み・書き・聞く・話すという4技能や語彙・文法に関する最適な教授方法を探る研究などを含んでいます。もちろんこれ以外にも、授業研究・教室研究のように、内容学と方法学の両者を組み合わせた研究もあります。今日はその中でも、授業における「発問(注1)」に関する研究の一例を紹介したいと思います。  
  例えば、よく知られた実践の一つなのですが、中学校2年生に、南アジアのある少女が書いた以下のような文章を提示したとしましょう。あなたが英語教師なら、この文章からどんな発問を考えますか?
Mom and Dad work at a factory from early morning till night. I look after my little brothers and sisters. I don’t attend school. (a girl of 8, South Asia)
 どうでしょう。実はこんな短い教材を使っても、熟練した教師はさまざまな発問を考えて、学習者の読解・思考を促すことができます。
例えば、「この文章の“I”とは誰ですか?」のように、「8歳の少女」という一つの答えが明確に定まるような、理解を確認するための発問もあれば、「“I don’t attend school.”というように、この少女が“can’t”ではなく”don’t”を使っているのはなぜですか?(注2)」というように、答えが明確に定まらず、学習者に解釈を求めるタイプの発問も考えられますね。発問研究によれば、一般的に発問は以下の3タイプに分けることができると言われています。
    1. literal questions(文字通りの発問)
    2. inferential questions(推論をはたらかせる発問)
    3. interpretational questions(解釈に関わる発問)
1.と2.は、どちらも最終的に答えは一つに収束しますが、後者は解答にたどり着くまでにひとひねりあり、よく文章を読み返すことで答えられる発問を意味しています。一方、3.は学習者の自由な思考を促す発問を意味します。典型的な英語授業では、多くが1(や2)のタイプの発問を扱うことが多かったのですが、より学習者にテクスト(読解素材)を深く、また自分自身と照らし合わせて読むために、内容理解を行う際には、これら3つの発問をバランスよく含めたほうがよいといわれています。
 このように、実はある英語授業一つをとっても、これまでの長期にわたる研究成果や科学的な理論、教師・研究者たちの様々な思いに裏打ちされて初めて授業が成立するのだいうことが、少しでもお分かりいただけたでしょうか?今回はやや実践的な研究をほんの一例のみ紹介しましたが、まだまだ面白い研究が数多くあります。このような研究がしてみたい方、ぜひ私たちと一緒に外国語教育の未来を考えてみませんか?

(注1)
質問:自分がわからないことを尋ねること。
発問:自分にとってわかっていることを(理解の確認、思考を促すなど、何らかの目的をもって)尋ねること。

(注2)
解答例としては、少女が学校に「行けない」のではなく「行かない」、つまり自分の意思・選択で学校へ行かずに兄弟姉妹の世話をするのだという彼女自身の思いが言語に表れているから。などが考えられる。

加藤先生

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2012年 1月 19日  

入試に向けた勉強法~過去問を解く~

こんにちは。物理を担当している渡辺です。今日は私が大学院入試を受けた際の勉強法について少し述べたいと思います。

どんな学問の試験においても、入試に向けて一番大事なことは過去問を解くことです。多くの方は自分が入試問題を解くにはまだ実力がないと考え、まず基礎を固め、その後に過去問に取り組もうと考えているのではないでしょうか。

しかしその基礎を学ぶために解く問題も多くは大学、大学院の過去問です。どうせ解くなら自分の受ける大学、大学院の過去問を解いていく方がその試験問題の傾向も知ることができますし最も効率がよいでしょう。

また、それを解く際は分からない問題をなんとか解こうと時間をかけ過ぎるのではなく、難しいと感じたら早めに解答を見て解法を覚える方法をおすすめします。

私も大学院入試の際は、まず過去問を解くことから始めました。7割以上解けなければならない試験問題の1割程度しか自力では解くことができず、参考書を手元に置きつつ苦戦しながらのスタートでした。参考書にある公式を見てもほとんど意味がわからなず、それを無理やり利用して問題を解いていくというやり方でした。

しかし問題数を重ねるにつれ、どういうときにこの公式を使えばいいのか、というようなことが分かるようになったり、たくさんある公式の間の繋がりが見えてくるようになりました。そうすると、初めは全く解けなかった問題も解法がすぐ浮かぶようになり、本番の試験では目標である7割を達成し合格することができました。

考えても分からないような問題を時間をかけて解ききることも大切ですが、それよりも先に解答もしくはそれに近いものを見て解き方を覚えるということを何回も繰り返してみましょう。よりその問題や解法についての理解を深めることができ、様々な問題に対応することができるようになると思います。

勉強法について困っている方がいればぜひこの方法を参考にしてみて下さい。

渡辺先生

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2012年 1月 10日  

数学の勉強法

皆さん、あけましておめでとうございます。数学講師の舩橋です。

今回は、私の実体験に基づく数学の勉強法について書きます。数学の問題を解く時は様々な試行錯誤を行って泥臭く問題を解いていきます。問題をみて試行錯誤を行えるだけの基礎力と、試行錯誤の中で正しい道筋を見つけられる応用力を身につけましょう。

 数学の問題を解くというのは、クロスワードや数独などのパズルを解くのと非常によく似ています。なぜなら、
1.正しいか分からないけれど、分かることを試してみる:試行錯誤パート
2.試してみた中で、正しいものを選んでいき、完成に至る:応用パート
という流れで共通しているからです。解答用紙も計算用紙も白紙のまま、「分からなかった」と諦めることのよくある方、どんな些細な思いつきでも連想でも構わないので、自信を持って、とにかく書いて試してみましょう。ひょっとしたらその方向で問題が解けるかもしれませんし(数学の問題の解き方は1通りとは限りません)、少しでも答案に記述があれば部分点が貰えるかもしれません。クロスワードを解く時を思い出して下さい。何か書きこんでおけばそれがヒントになって他の問題も連鎖的に解けたりするものです。なにも書きこまなければそれより先に進むことはあり得ません。

 さて、このような問題の解き方を踏まえると、よくいわれる、「基礎から応用へ」という勉強法の真意が見えてきます。まず、問題を読んで何かを思いつく、思い出すための基礎力が必要になります。さらに思いついた解法っぽいものの中から正しいものを組み合わせる応用力が必要になります。基礎力はチャート式のような網羅的な問題集を何周も解き、難しいなら前の問題に立ち返り、問題の意図を理解し道具として扱えるようになることで得られます。応用力は入試レベルの問題を、ただ何となく解くのではなく、基礎の勉強で得た知識をどう組み合わせて解くか考えながら解くことで得られるでしょう。

 この、私なりの数学の勉強法が、皆さんの長期的な勉強計画を立てる際に役立てば幸いです。最後になりますが、寒くなり、インフルエンザや風邪が流行りだす季節になりました。皆さんも手洗いうがいを行い、病気には十分ご注意ください。

舩橋先生

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2012年 1月 7日  

基礎の重要性

 昨年末、地元で同窓会があり6年ぶりに高校時代の仲間が集まった。私は大学で日々研究に携わる生活を送っているが、久しぶりに再会した友人たちの多くは一般企業で働いており、普段聞けない様々な話を聞けた。その中で印象に残っている話を一つ紹介したいと思う。
 大学で理系学部に所属すると、おそらく多くの人がプログラミング言語を学ぶ。プログラミング言語はコンピュータに命令をする際必要になるもので、多くの工学機器には必ず使われている。話をしてくれた友人は銀行に就職し、システム管理を行っているそうだが、そこでも勿論プログラミング言語は使われている。コンピュータはプログラム通りにしか動かないのでたまに些細なミスで管理しているサーバがダウンすることがあるらしい。非常に複雑なプログラムであるためだろうと納得しそうになったが、原因を聞いて驚いた。それらの事故の多くは、ヒューマンエラーにより起こったようで、しかもとても簡単なミスということだった。分かりやすく言うと、例えば、数学の問題を解く際、「ただし正の整数とする」といったような基本的な条件文を書き忘れたと言ったような内容である。身の回りのプログラムで制御させた機器はとても複雑に見えるが、実は、基礎が積み重なってできたものだと改めて気付いたと同時に、高校や大学の数学で嫌になるほど指摘された条件文の重要性を今知ることになった。ものごとを始める時、初めは基礎ばかりが続き退屈だが、それが一番重要だということだろう。

甲斐先生

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